家族が寝静まった我が家。
起きているのは私ひとり。
それなのに、階下から誰かが、ばりばりと煎餅
を食べる音が聞こえてきた。
階段の電気を点けて階下を覗きみても止む気配のない煎餅
音。
時折、きぃきぃとプラスチックをこするような音がする。
まさか泥棒…?
そのわりには、玄関から庭に設置してある感知ライトが作動していない。ネコや家の前を通る車にも反応するというのに…
私はメンソレータムの缶を手にしたまま、階段を一段一段、また一段と静かに降りた。
どうやら音は玄関から聞こえるようだ。
暗い玄関に立ち、しばらく音を聞いてみる。
人の気配はない。
しかし音は確実にここからするのだ。
パキッ
パキッ
時々、キィ~
我が家は動物がいない。
メダカは数え切れないくらいいる。
んじゃメダカか。
ばかなメダカがどうやって
私は何かを決心したように、玄関の電気をつけた。
電気をつけたら、逃げるかも…
そう思ったのだ。
しかしそうではなかった。
音は相変わらず玄関のどこからかしていて、私が居ようが居まいが関係ないとでも言うように鳴り続けている。
昼間のように明るいのに音の正体が見えない。
私は眠りそうな頭を振り、音の正体を探した。
散らばった靴、私の身長ほどある生け花、傘立て、そろえられた靴、玄関マット…
果たしてそれはげた箱の上に堂々といた。
黒いカラダに六本の足を持つあの生き物…
ごkじゃなかった、カブトムシである。
ヨーグルトの箱に入ったカブトムシの動きまわる音。
…
…
深夜の捜査を終了とする!!!
おどろかせやがって!!
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